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WORDS

-それ以外に抽象しようのない-

Newton力学のはなし 0.歴史

Newton力学のはなし 0.歴史 

 

barrynoether.hatenablog.com

 

 以下,私が用いる「Newton力学」とは,大学の理系学部で1年生の履修する「力学」に相当するものであるとします。

 

 Newton力学の原型となったのは,Isaac Newton(英,1642-1727)*1が1687年に刊行した"Philososhiae Naturalis Principia Mathematica"という書物です。

このタイトルはラテン語です。当時ラテン語は,欧州アカデミアの公用語であったそうです。直訳すると『自然哲学の数学的諸原理』*2となりますが,日本では通称『ピリンキピア』と呼ばれています。

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  さて,現在Newton力学といえば,微積分やベクトルといった数学が多用されています。しかし『プリンキピア』のなかでは,微積分もベクトルも使用されていませんでした。

 まずベクトルというものは,19世紀末から20世紀初頭にかけてのMaxwell*3らの電磁気学の発展に伴って整備され,力学にも流用されたものであるようです。したがってNewtonの時代には,まだなかったようです。

 それから,微積分の概念にはNewtonは到達していたと言われています。しかし彼は微積分を用いて『プリンキピア』を書くことはしませんでしたが,その理由は当時微積分は多くの人々にとって馴染みのないものであったためだと言われています。彼は当時ヨーロッパ中で伝統的に教えられていたEυκλειδησ幾何学を,微小な長さやら微小な角度やらを持った図形に適用するという極限操作的な手法で,物理学的な命題を証明していったと言います。

 また,現在の高校の教科書で教えられている微積分の記号・記法は,主にLeibnitz*4が考案したものであるようです。LeibnitzはNewtonとほぼ同時期に,Newtonとは独立に,微積分の概念に到達していたと言います。たとえば \displaystyle \dot{x}や   \displaystyle \ddot{{x}}といった,位置関数を時間で微分することをドットで表現する記法はNewtonの考案したものだそうですが, \displaystyle \frac{dx}{dt} \displaystyle \frac{d^2x}{dt^2}といった,(物理)量の種類を問わずあらゆる変数・従属変数に用いることのできる記法は,Leibnitzが考案したものだそうです。つまりLeibnitzの記法のほうがより一般的であるということです。

 

 上記の通り,初め初等幾何的に行われていた力学ですが,微積分とその記法の考案と,EulerやGauss,Lagrangeらによる微積分の積極的な使用,つまり「解析化」を経て,さらにベクトル記法も導入されることによって,現在のNewton力学が完成します。

 

 

*1:アイザック・ニュートン - Wikipedia

*2:"Philososhiae Naturalis Principia Mathematica"というタイトルは,Rene Descartesの"Principia Philosophiae",直訳で『哲学原理』(1644)に対抗したものであると私の所属する学科の教員が述べておりました。ルネ・デカルト - Wikipedia

*3:ジェームズ・クラーク・マクスウェル - Wikipedia

*4:ゴットフリート・ライプニッツ - Wikipedia