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WORDS

-それ以外に抽象しようのない-

家族的類似と心理アンケート

家族的類似と心理アンケート

 

 ヴィトゲンシュタインの言う家族的類似というものが,例えば「メンタルヘルスであるかどうか」を診断するチェックシートの例によって理解しやすいと思ったので書いておく。

  メンタルヘルスのチェックシートには,チェック欄がいくつかあって,記入者は自分に該当する項目にマークを付ける。

 以下では,厳密な診断を行うさいにはありえないシンプルな例で考える。例えばある病気Iのチェックシートには全部で5個(ABCDE)のチェック欄がある。そのうち3個にチェックがつくと病気Iの可能性が高い。

 XさんはABCに,YさんはCDEにチェックをつけた。2人ともその病気Iであるらしいのだが,しかし共通しているのは項目Cのみである。それでも2人とも病気Iである。

 

 曖昧なままで理解される概念の,個々の具体物/例というのは,このように共通点は持ちながらも微妙に異なっており,ある条件を全て満たしていなければならないというものではないらしい。

 家族的類似が「全てのチェック欄のうちどれぐらいの数を埋めていなければならないか」(例えば10個の欄のうち1個だけチェックという基準ではさすがに少なすぎるのでは?)とか,「共通点が一切なくても同じ病気として構わないか」とか(例えば5個の欄のうちAだけの人とEだけの人を同じ病気としていいか?)とか言う疑問はあるけれど,そういった疑問に陥ることが,家族的類似の概念によって批判されうると思う。しかもメンタルヘルスの例であれば,根本的には,様々な症状を生ぜしめる異変的なものが,物質的に,身体で起こっているかどうかが本質的な基準になりそうだし?

 なんにせよ,上の例によって「感じ」「コツ」(イデア!)はつかめるかもと思う。

 

 (それでも必要十分条件によって概念を定義しようとするのであれば,パスカルによって「幾何学の精神」と断ぜられるかもしれない)