『ジャスティス・リーグ』

ジャスティス・リーグ

 

5千年の昔、宇宙を荒らしてまわる”ステッペンウルフ”というデカいツノを持った、何やら腕っ節の強い奴がいた*1

彼に殺された者は、羽の生えた昆虫様の人間に変身し、彼の僕となってしまう*2

ステッペンウルフは”マザーボックス”という莫大なエネルギーと可能性を秘めたなんかヤベー箱*3を手中にしている。

ウルフはこの箱のパワーと軍事力を以って宇宙中を征服して周り、ついには地球に手を伸ばした。

 だが”神々”*4”アマゾネス”*5アトランティアン”*6と人間たちが協力し、さらに”グリーンランタン”*7たちが応援に駆けつけたことで、ステッペンウルフは敗北、宇宙へと逃げた*8

ステッペンウルフが残した“マザーボックス”は3つの箱から成るのだが、まとめて保管するのは危険なので、アマゾン*9アトランティス、人間のそれぞれが管理することになった*10

うち人間の箱は、第2次大戦中にイギリス軍によって発見され、アメリカに渡って研究対象となっていたようである。

そしてその研究者が”サイボーグ”の父親であった。実験中の事故で彼はメタルな肉体と驚異的な頭脳(というよりも情報アクセス能力)を手にいれたようである。

 

さて、5千年間復活を狙っていたウルフだが、前作『バットマンvsスーパーマン』で、スーパーマンという地球の守護者が死んだのを機に再征服を開始*11

地球に偵察を送り「アマゾン」「アトランティス」「サイボーグの父親」の3つの箱を奪取、合体させて力を得ようとする*12

 

バットマン”ことブルース・ウェインはウルフが地球に送った偵察と、前作で逮捕したレックス・ルーサーの資料の情報とを併せて地球侵略が始まろうとしていると察知。

ワンダーウーマン”ことダイアナは、アマゾネスの島が襲撃され箱が奪われたことを知らせる狼煙によって、危機を察知。

2人はレックスの資料にあった”メタヒューマン”を集めてチームを結成し、侵略に対抗しようとする*13

リクルート*14の対象となったのは,

めちゃくちゃ速い*15”フラッシュ”、アトランティスの王子”アクアマン”、そして箱の実験の犠牲者”サイボーグ”である。

 

アクアマンは単独行動を好むことから、サイボーグは自分の内外の変化を受け入れられないことから、それぞれリクルートを拒む。

しかし箱を奪おうとしたウルフがアトランティスを襲撃したためアクアマンが参加。

サイボーグも、箱のありかを聞き出そうとしたウルフ*16によって父親が誘拐されたため参加。

フラッシュは「友達が欲しい」と即参加*17

こうして”ジャスティス・リーグ*18が結成されるわけである。

このチーム結成は「異種族間の連携によってウルフを撃退した過去の再現」という構図らしい。

 

ちなみにリーグのメンバーはそれぞれ、過去に何かしらのトラウマを抱えている。

バットマンは相棒”ロビン”を宿敵”ジョーカー”*19によって殺されたようである*20

ワンダーウーマンは第1次大戦に参加した際、恋人を失った*21

アクアマンはアトランティスの女王である母に捨てられたと思っているらしい*22

サイボーグは父の実験によって姿が変化。

フラッシュは母親殺しの容疑で父親が服役中。幼いころフラッシュは父の無実を証言するも,

受け入れられなかった*23

人物設定にトラウマを組み込むこういう脚本づくりの背後には、製作として関わっているノーランの存在が臭うのだが、どうだろうか*24

 

しかしメンバー5人集まったものの、ウルフは強すぎる。

そこで箱の力を借り、『BvS』でドゥームズ・デイを製作するのに使用されたクリプトンの宇宙船の中の”羊水”を利用して死んだスーパーマン*25を蘇らせることに。

 

というわけで6人でウルフを撃退しましたとさ。

めでたしめでたし。

 

エンドロール後にはお楽しみがある*26

 

 

フラッシュの性格は自分のツボにはまったけれど、派手なアクションによって喚起される興奮だけに注意が向く人間ではないせいで、説明不足なところに不満だった。

チームの人数の多さも消化不良の原因なんだろうな。

 

 

コミック映画は観客の予備知識を前提にして脚本作ってるようなところあるけれど、ミステリ志向の監督には情報の出し方にこだわりがあって、ノーランは結構な情報量をカット数多めで出してきて、ヴィルヌーヴはゆったりテンポで謙虚な情報量を見せて観客に足りない情報を補わせようとする(そして観客が、作中で説明されていない勝手な仮定とか先入観を持ち込んで間違った結論を下すと"教育"する)。フィンチャーはどうだろう。うーん

*1:一体何者なんですかね?という疑問に答える説明は劇中特にない。

*2:いわばショッカー軍団のような雑兵軍団

*3:とにかくヤバいらしいのだが、謎である。

*4:ここでいう神々とはギリシア神話の神々で『ワンダーウーマン』でちょこっと登場する。『マイティ・ソー』に登場する北欧神話がモデルの神々は宇宙人的な存在で人間と「同じ世界に住んでいる」感じがあり、神話的でないけれど、DCの神々は依然神話的で、人間と「住む世界が違う」感じがある。

*5:ワンダーウーマン』の序盤はアマゾネスの島の生活が描かれているけど、この種族(?)についての説明は結構少ないのではないか。映画での説明はなくともコミックなどによる予備知識あることが前提なのかなあ

*6:アトランティスに住んでいる人間たちのことらしいが、こちらについても説明はほとんどない。とにかく水を操れる水中最強の奴らである。劇中、アクアマンが北欧から一瞬でアトランティスらしき場所へ行く描写があるが、その場所は謎である。

*7:宇宙の警備隊である。現行のジャスティス・リーグに、まだグリーンランタンは登場していない。以前ライアン・レイノルズ主演で『グリーンランタン』が作られたけれど、現行のDCユニバースとは関連がない。レイノルズは今マーベルの『デッドプール』の主演だ。

*8:異なる種族間の同盟、復活を目論む邪悪な征服者、征服者に力を与える眠れる秘密兵器、という構図は『指輪物語』あるいは『ロード・オブ・ザ・リング』トリロジーを彷彿とさせる。

*9:アマゾネスの放った矢がアマゾンに着地したことから、アマゾネスの島というのは大西洋にでもあるのではないかと思う。

*10:でも地球1つにまとめるんだ。ウルフはテレポート出来るんやで。でも5千年前は宇宙船みたいなので来とったな。

*11:スーパーマンが活動していたのは5千年の間だとわずかなわけで、スーパーマンが地球に来る前に再征服が試みられなかったのは謎である。

*12:結局何ができるのか謎である。

*13:ブルースという男は社会的・経済的地位があり、武器の開発という非超常的なことに注力する割に、メタヒューマンチームの結成という発想はめっちゃ超常的である。

*14:日本での宣伝は「採用」のように就活を意識した言葉遣いをしていたので、字幕を担当したアンゼたかし氏は「職務放棄」とか「臨時採用」のように英語のセリフには含まれていないニュアンスを加味している。このような翻訳が個人の判断でなされたのか、それとも日本あるいは本国の映画会社との指示なのか、といった事情については不明。

*15:ところがスーパーマンもめちゃくちゃ速いので、彼のお株が奪われるわけである。スーパーマンがフラッシュに視線を向けるシーンは本作の個人的ベスト。

*16:ウルフはアマゾンの島とアトランティスの2箇所で、箱がある場所に直接テレポート的な方法で現れる(普段どこにおんねん)。しかし人間の箱の場所を聞き出そうとしたということは、人間の箱には直接テレポートできないということである。つまりテレポートは必ずしも箱のパワーか何かによるものとは言えない。もしウルフのテレポートに箱が全く関係ないのだとしたら、ウルフはアマゾネスとアトランティスの箱をどうやって見つけたのか?彼は5千年間地球から遠ざかっていたはずである。アマゾンとアトランティスは敵対していたから、管理しているかもと見当はつけられるが、しかしピンポイントで箱の場所にテレポートすることはできない。偵察を送った?しかしバレそうである。人間についてはもっと難しい。ではやはり箱はテレポートに関係あるのか?

*17:いくらバットマンを知っているとはいえ、よく知らない人間に、ほとんど説明もないまま、しかも戦闘経験皆無であるにも関わらずついてくとはさすが映画のノリである。

*18:ただし劇中で「ジャスティス・リーグ」という言葉は使用されなかったと思う。

*19:スーサイド・スクワッド』で登場したけど、今後公開されるというバットマンの単独映画には登場するのだろうか。

*20:バットマンvsスーパーマン』にそれを示唆する描写として、ジョーカーに落書きされたらしきロビンのスーツが登場する。

*21:ワンダーウーマン』の通りである。

*22:実際には事情があったようなのだが、詳しい説明はされない。もし『アクアマン』のような単独主演映画があれば公開されるだろう。

*23:ユニバースとの関係はないが、ドラマ版のフラッシュは結構ながく続いているようである。

*24:個人的には、本作中ではあまり効いていないと思うが、単独主演映画への伏線なのだろう。

*25:『BvS』のラストではスーパーマンが死んでいないとも取れる演出があったが、死んでいた。「死んでいない」演出ではなく、「蘇る」演出だったのだろうか。それともスーパーマンが死んだことが確定する本作の脚本執筆前だったせいだろうか。

*26:エンドロール開始直後に「お楽しみ」を入れたので、エンドロール後には「お楽しみ」がないかもと思わせておいてからの演出はちょっと意表をつく。