慣性系からの推論

ニュートン力学における「慣性系」について、自分なりの解釈に基づく連続的な推論

(ただしGalilei変換の数学的導出は(調べれば見つかるので)省略した)

・目盛りを振るなどして地表に座標系としての役割を持たせたものを「地表系」と呼ぶことにする

・地表面が厳密に水平であるものと仮定する。このとき、水平方向の力を一切加えることなく、物体を水平方向に静止させることが可能である(この仮定が微妙)

・物体に対し一切の力を加えることなしに実現される静止を「静置」と呼ぶことにする

 

・地表系は厳密に平面であるものと仮定する。このとき、地表系の水平方向に対して等速直線運動を行う座標系に対して、水平方向の静置が可能である

・地表系の水平方向に対して等速直線運動を行う座標系を「慣性系」と呼ぶことにする

 

・地表系の水平方向に対して加速度運動する座標系(非・慣性系)において、物体の水平方向に静置することは不可能である。つまり地表系の水平方向に対して加速度運動する座標系において物体が静止するためには、力が必要である。

 

まとめ1

・地表面が水平かつ平面であるという仮定のもと、「地表系の水平方向」と「慣性系の水平方向」に対する物体の静置が可能である

・非慣性系における静置は不可能である(物体の静止には力が必要である)

 

・慣性系に対して静置された物体を考える。慣性系が完全に滑らかで物体への摩擦の影響がなく、かつ、空気の抵抗がないものとする。このとき、仮に慣性系が地表系に対する速度を変化させたとしても、物体は地表に対して元の速さを保ったまま直線運動を継続するであろう。

・この思考実験において、物体と慣性系(だった座標系)の間には一切の相互作用が存在しないのだから、慣性系(だった座標系)は初めから存在しなかったものと考えて差し支えない。例えば無限に薄く有限の長さを持つ慣性系に物体を載せ、慣性系が地表系に対して減速したとしたら、物体はやがて慣性系(だった座標系)を飛び出す。そして、地表系が完全に滑らかであったなら、物体は元の速さを保ったまま直線運動を継続するであろう。

・つまり真空中において、地表系が完全に滑らかであったなら、水平方向の力が一切はたらくことなしに、物体は地表系に対して等速直線運動することが可能である。

・水平方向の力が一切はたらくことなしに地表系に対して行われる等速直線運動を、「駆動的でない」(非・駆動的な)等速直線運動と呼ぶことにする

・地表系の水平方向に対して等速直線運動を行なっている物体の速度は、任意の慣性系に対しても等速直線運動を行う

 

まとめ2

・「摩擦なし」「空気抵抗なし」という仮定のもと、慣性系に対して静置された物体は、慣性系が速度を変化させたとしても、地表系に対する等速直線運動を継続する。したがって地表系の水平方向に対する非駆動的な等速直線運動が可能である。

・このとき、物体は任意の慣性系に対しても(非駆動的な)等速直線運動を行なっている

 

・地表系や慣性系が完全に滑らかで空気の影響も存在しないものとする。このとき、静置された物体に対してわずかでも力を加えると、物体は力のはたらいた方向へ速度を持つであろう。

・慣性系に対して静置された物体に力を加えることによって物体が運動する様子を地表系から観察すると、等速直線運動する物体に力を加えることで速度が変化したものとして観察されるであろう。

・このとき、慣性系が初めからなかったものと考えるなら、水平方向の力を一切必要とせずに地表系の水平方向に対して行われる等速直線運動を行う物体に力を加えることによって、速度が変化する(加速度が生ずる)ものとして観測されるであろう。あるいは一切力を必要とせずに地表系に対して等速直線運動を行う物体と並走する台車などに乗って、力を加えるなどをすると良い。

・地表系に対して等速直線運動している物体は任意の慣性系に対しても等速直線運動を行うのだから、地表系に対する物体の速度が変化したとき、これを他の慣性系から観察すると、どの慣性系から見ても、物体の速度が変化したものとして観察される。

・ある物体の地表系における加速度は、任意の慣性系においても等しい。

 

まとめ3

・「摩擦なし」「空気抵抗なし」という仮定のもとで、慣性系に対して静置された物体にわずかでも力を加えると、その位置は変化する。この様子は、地表系からだと、非駆動的な等速直線運動を行なっていた物体の速度が変化したものとして観察される。つまり地表系の水平方向に対して非駆動的な等速直線運動を行なっている物体に力を加えると、加速度が生じる

・このとき、任意の慣性系に対してもまた物体は加速度を持っており、その値はすべての座標系において等しい

※等速直線運動から加速度運動に転ずるのではなく、つねに加速度を持ち続ける運動については、速度が徐々に変化する微小な等速直線運動の連続とみなす。そして「摩擦なし」「空気抵抗なし」という条件のもと、加速度の原因は力の作用であると考える。

 

摩擦や空気抵抗が存在しないという仮定のもと、地表系の水平方向、および慣性系においては、駆動的でない等速直線運動をしていた物体の速度が変化する原因はすべて「力」であるものとする

・これまで摩擦や空気の抵抗の影響を考えてこなかったが、もしも摩擦や空気の抵抗によって物体の速度が変化したとしたら、それはなぜなら摩擦や空気の抵抗が「力」だからである。

地表系の水平方向と慣性系においては、物体にはたらきかけ加速度を生じさせる作用は、すべて「力」であるとみなす。

 

・これにより摩擦や空気抵抗による物体の加速度の変化もまた「力」であるとみなされることとなる

・さらに地表系において鉛直方向に生じる加速度もまた「力」であると考えられるのではないか

 地球固定系において月が公転していたり、太陽固定系において惑星が公転しているのだとして、地球中心系や太陽中心系が慣性系であるならば、それらの天体が直線運動を行うのではなく曲線を描いているのは、純粋に「力」の作用によるものと考えられる。

・地表系の平面性を仮定したが、実はこの仮定がなくとも、本来物体は力がはたらかない限り非駆動的な等速直線運動を続けるのではないかということである。

・このとき公転を行う加速度の方向がつねに地球や太陽の方向であるならば「力」の原因は公転の中心にある天体ということになる。さらに作用・反作用の法則を適用すると、公転の中心にある天体が公転する天体に力をはたらいているならば、公転する天体もまた公転中心の天体に力を及ぼしているということになる。

・この遠隔的な力が質量に比例するなれば、この力は質量を持つあらゆる物体が、質量を持つ他のあらゆる物体に対して持つ力であると考えられる。そこでこの力を「万有引力」と呼ぶことにする。

 

・なお、地表系、地球中心系、太陽中心系を同時に慣性系とみなすことはできない。何故ならばこれらの座標系は互いに加速度運動をしているからである。どれか1つを慣性系とみなしているあいだは、他の2つを慣性系とみなすことはできない。したがってなんらかの系を慣性系として扱うということが近似的なものであるという場合がある。

 ・つまり初めは慣性系とは単に「地表系の水平方向に対して等速直線運動する座標系」なのだが、いつのまにか「力を加えることなしに、そこで物体が等速直線運動をすることのできる座標系」にすり替わっているというわけである。

 

 

・地表系や慣性系において物体に生ずる加速度の原因は純粋に力のみであるから、加速度の測定値によって力の大きさを測定することができるのではないかと考えられる。運動方程式の話へ

・一方非・慣性系においては、物体に生ずる加速度に、非・慣性系それ自体が地表系に対して持つ加速度が寄与しているから、加速度の大きさがすべて物体にはたらく力の寄与によるものであるとみなすことはできない。

(つづく)