『スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ』※途中

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【鑑賞直後の感想】

シリーズ中で脚本が最高だった。ルーカスがやったように特色ある惑星やクリーチャーを登場させ、さらに無駄なくストーリー展開にも利用した。惑星クレイトのクリスタルの狐は、単に特徴あるクリーチャーとして登場するのみならず、レジスタンスが脱出口を見つけるヒントを与える。後述するように惑星クレイト自体も、特徴を持つだけでなく演出上の意図のもとでデザインされたのだろうと思う。

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 複数のパートが並行して進行し、しばしば関連を持つ。エピソード7の終了直後からスタートするエピソード8の主要なパートは、①ルークを訪れ修行とレジスタンスの統率を求めるレイ、②燃料切れ目前でファーストオーダーの追跡から逃れるレジスタンスの母船、③オーダーによる母船のトラッキングを解除しようとカジノ惑星を訪れるフィンという3つ。それらのパートが集合や分岐を繰り返し、やがて1つに結集する。

 

スターウォーズは「善vs(絶対)悪」「光vs闇」というわかりやすい対立構図を描いてきた。「ジェダイvsシス」「共和国(民主主義、反乱軍)vs帝国」という構図はエピソード7において「レジスタンス対ファーストオーダー」という対立に姿を変えて継承された。けれどもエピソード8では「レジスタンス対ファーストオーダー」を継承しながらも、善か悪かのどちらか一方に完全に収まることのない個人や集団内の葛藤が描かれた。善の勢力は善の勢力の内部で、悪の勢力は悪の勢力の内部で、それぞれ葛藤する。これまでのシリーズが踏襲してきた善悪のわかりやすい対立を揺らがせた。

ファーストオーダー内でもレジスタンス内でも指揮系統をめぐって争いが起こり、ライトサイドもダークサイドも1枚岩ではないことが示される。

カイロ・レンとレイとはフォースによって繋がり、フォースセンシティブの人間がライトサイドとダークサイドのどちらにも振れることが印象づけられた。

カジノの惑星でフィンとローズの出会ったDJは、レジスタンスもオーダーも同じ業者から武器を購入しており、これまであえて触れられなかった物語の裏側に野暮なツッコミをしながらも善悪の二項対立を揺らがせるほうに誘導した。

野暮といえば、ファーストオーダーの船内でアイロンがけがあるシーンだ。これは笑いを誘う場面でありながらも、二項対立を揺らがせよう路線に従ったものに思える。

キャプテン・ファズマの仮面に亀裂が入り、そこから生身の人間の姿が垣間見えるのもまた同様ではないか。

ルークがカイロ・レンの寝込みを襲ったのか?それとも説得しようとしたのか?対立する証言によって観客にはルークに対する不信感も根ざす(こういう証言の矛盾を見かけると『藪の中』をすぐに連想するよう、自分の体が出来上がった)。

 

ただし、善悪の二項対立が揺らぐためには善悪がはっきり分かれて対立していないといけないので、最後のジェダイにおける監督の試みは最後のジェダイ単独では成功せず、これまでのシリーズの延長線上にあって初めて成功するのだと思う。

 

ライアン・ジョンソンが脚本を執筆しながら何を考えていたかは分からないが、ルーク・スカイウォーカースノークがいると、どうしても善VS悪の構図になるのではないか。この構図を揺らがせ、善や悪に割り切ることのできない性格を持つ複雑なキャラクタを手駒としてこれからのストーリーを作るには、ルークとスノークが邪魔だったのではないか。2人を退場させ、レイとカイロ・レンで置き換えることが必要だったのではないか。

ルークやスノークというのは既に人間として完成しており、性格が更新されるというのは難しい。レイやカイロ・レンはまだ価値観や生き方が定まっておらず、そこに物語を駆動する余地があるのだ。

 

スター・ウォーズでは軽く描かれてきた味方の犠牲も重く描かれた(もしかしたらこれは『ローグ・ワン』路線の延長なのかも知れない)。爆撃船の犠牲は、レイアの手元の画面に表示されることでより一層悲壮感を増す(そして犠牲となった乗組員の姉妹がローズであるというところが、1つ設定をしたら別のところで有効活用する脚本のうまさだと思う)。味方の軍事力や資源、タイムリミットを明示され、1つ1つ味方の船がやられていくことで緊迫感や絶望感が増す。

ポーはこれまでのシリーズ的な英雄である。あまり描かれてこなかったが、彼のような英雄が活躍するということは多くの人間が死ぬということである(ウルトラマンが怪獣を倒すときに街を破壊していることをツッコむのが野暮であるとされるように)。観客の中には彼のような英雄を望むものも多いのだが、彼の活躍を抑え、彼の考えを改めさせる(生き延びるだけで十分!この路線は『ダンケルク 』『レヴェナント』『ゼロ・グラヴィティ』っぽい)ことと、これまで名もなかったレジスタンスの犠牲が描かれることは同時に行われるのである。惑星クレイトの真っ白な塩の下に隠れた赤い大地は、本来戦闘に伴って流れるはずだが省略され描かれることのなかった人間の血を、本来血を流す人々の代理として流す。

 

【エピソード7の要約】

(1)『エピソードⅥ』から30年後。帝国軍の残党ファーストオーダーが強大化し、銀河共和国を蹂躙

(2)レイア・オーガナ将軍(姫)の率いるレジスタンスだけが唯一抵抗を続けた

(3)ファーストオーダーを率いる最高指導者スノークは、レイアとハン・ソロの息子であり強力なフォースを持つ*1ベン*2を暗黒面に誘惑し、弟子とした。ベンは「カイロ・レン」と改名し、ダース・ベイダーを目標とした

(4)ベンを弟子として育てていたジェダイ・マスターのルーク・スカイウォーカーは失望し、隠遁。彼の居場所を記した地図は、ドロイドのBB-8とR2-D2の2体が分割して持っていた*3

(以下からエピソード7 フォースの覚醒がスタートする)

(5)オーダーにとって脅威になるルークを見つけ出すため、カイロ・レンは、BB-8と共にルークを捜索していたレジスタンスのエースパイロットであるポー・ダメロンを捕縛し、情報を聞き出そうとする。

(6)ポーは捕らえられ戦艦内に監禁されるが、オーダーの仕事に嫌気がさして脱走を目論むストーム・トルーパーのフィンによって救出され、近くの惑星ジャクーに不時着。そこでフィン&BB-8はポーと離れ離れになり、代わりにジャンク漁りで生計を立てるレイと出会う。レイは幼少期、この星に置き去りにされていた。(この間ポーは自力で脱出し、レジスタンスの基地に戻る。)

(7)オーダーの追跡を受けるフィンとBB-8と、巻き込まれたレイを含めた3人は、たまたま見つけた盗船ミレニアム・ファルコンに乗り込みオーダーから逃走するも、別の船に捕縛される。ファルコン号を捕縛したのは、元々の持ち主であったソロとチューバッカであった。

(8)ソロはBB-8がルークを探していることを知るが、妻のレイアと会うのが気まずいため、自分自身がレジスタンスに関わることには消極的だった。そこで惑星タコダナを訪れ、酒場を切り盛りするマズ・カナタに助けを求めるが、自分自身でやるようにとはねつけられる。一方フィンは脱走を完遂するため、運び屋を探す。レイはフォースに誘われ、酒場の地下室でアナキンからルークへと受け継がれたライトセーバーを発見。過去や未来のヴィジョンを見る。

(9)そのタイミングでオーダーが酒場を急襲。ポーらが乗るレジスタンスの戦闘機が応援に駆けつけるも、レイはカイロ・レンによって誘拐される。フィンはレイを救出するため、脱走を諦める。ファルコン号の一行は、惑星ディカーにあるレジスタンスの基地へ向かい、ソロとレイアは再開を果たす。

(10)惑星ディカーは、デス・スターの後継であるスター・キラーによって破壊されようとしていた。そこでスター・キラーの清掃員として構造に精通するフィンの情報に基づき、ファルコン号の乗組員たちが弱点を破壊することになる。さらにフィンはレイを救出すること、ソロは息子カイロ・レンことベンを暗黒面から取り戻そうとする。

(11)ファルコン号の乗組員はスター・キラー内に爆薬を仕掛け、フォースの力を覚醒させ自力で脱出したレイと合流するも、ソロはレンに殺される*4

(12)爆薬が起動し、さらにポーらの攻撃によってスター・キラーの崩壊が始まるなか、チューバッカの射撃によって傷を負いながらもカイロ・レンはフィンとレイを追跡。ライトセイバーでの決闘が始まる。フィンは重傷を負うが、フォースの覚醒したレイに対し、レンは苦戦。最後にはチューバッカがファルコン号でレイとフィンを救い出す。

(13)惑星ディカーの基地に戻ったレイはフィンを医療班に預ける。休眠していたR2が再起動したためBB-8の地図が完成し、ルークの居場所が判明する。レイはルークのライトセイバーを携え、チューバッカ、R2と共にファルコン号に乗り込んでルークのいる惑星へと向かう。

 

【本編のあらすじ】

(エピソード7終了直後から物語は始まる)

(1)惑星ディカーの基地をオーダーが急襲。

 

*1:レイアは、最強のジェダイであったアナキン・スカイウォーカーの娘である。

*2:オビワン・ケノービの偽名ベンにちなんだ命名?

*3:実際は、最初BB-8は地図を持っていないのだが、簡単のためこう書いておく。

*4:レンが苦しいとか助けてとか言っているのは何故なのかよく分からないが、父親を殺すことをためらいながらも偉大なダース・ベイダーに憧れるため"強く"あろうとする。